関東圏内の小学校での音楽教育研究発表会で、パネルディスカッションのコーディネーターをさせていただきました。
こちらの学校とは2年前から親しくさせていただき、何回か研究授業の際の指導者としてお招きいただきました。この日は、これまでの研究の成果のまとめとして、1年生から6年生までの全学年から、1学級ずつ研究授業が提案されました。
こちらの学校は、音楽の授業を専科の先生がおこなうことの多い都市部にありながら、音楽の授業をすべて学級担任の先生方がおこなっているのが大きな特色となっています。学校全体で音楽教育を研究して、20年以上になるという伝統校です。
いつも子供たちと一緒である担任の先生であるからこそできる、子供たちの実態と気持ちが的確に把握された、子供たちが本当の音楽の楽しさに迫ることのできる授業が展開されていました。どのクラスの授業を参観しても、こちらの顔がついほころんでしまうような温かい授業ばかりでした。
この日の私の仕事は、授業後の全体会でのパネルディスカッションで、司会進行を務めるコーディネーターという大役です。
しかも、このパネルディスカッションが前代未聞というか、画期的というか、パネラーに6年生の児童が二人いるのです。
この企画は、校長先生の発案です。
子供たちが本音で語ることが、研究の成果を如実に表すであろうという発想ですが、楽しみでもあり、とても恐ろしい企画であるとも思いました。
子供たちには、事前に質問事項は伝えてありましたが、子供たちの発言については、先生方が指導することなく、本人たちに任されました。また、私が、突然質問し、その場で考えて回答してもらう場面もありました。
子供たちからは、頑張っている音楽会のこと、音楽の授業がわかりやすく進められていることなど、先生たちの努力の成果が、子供たちに伝わっている様子が語られました。中には、「音楽の時間をもっと増やしてほしい」という、ありがたい要望もありました。
私が一番印象に残っているのは、「音楽の時間は、自分の考えと違った友達の考えを知ることができるのが楽しい」という発言です。担任の先生が授業をするからこそ、子供たちが安心して自分の考えを出し合い、それを認め合っている日頃の授業の姿が浮かび、とても素晴らしい発言であると思いました。
この日の指導者でいらっしゃいました文科省の津田先生からも、この発言に対して、「音楽科では、互いの多様性を認め合うことが大切である」といった趣旨のご講評がありました。
たくさんの参観の先生方を迎え、まだ新しいクラスになって間もないこの時期に、たいへん素晴らしい研究発表会を開催されました職員の皆様、頑張った子供たちに、心から敬意を表したいと思います。
そして、私たちが気持ちよく参観できますよう、土砂降りの中での道案内など、細やかなお心遣いをいただきましたPTAの皆様に、心からお礼申し上げます。